「配信中に映像がカクつく」「視聴者から遅延がひどいと言われる」「配信が途中で落ちてしまう」——これらは原因が別々のことが多く、闇雲に機材を買い替える前に切り分けることが大切です。マイクなど音声トラブルは配信の音声トラブルの原因と対策、機材の選び方は配信用PCの選び方を参照してください。
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この記事で分かること
- カクつき・遅延・配信落ちそれぞれの主な原因の違い
- OBSのエンコード設定で確認すべきポイント
- ネットワーク側が原因かどうかの切り分け方
まず「カクつき」「遅延」「配信落ち」を区別する
この3つはよく混同されますが、原因が異なるため対策も変わります。
- カクつき:配信映像自体がコマ落ちする、ガクガクする(主にPC側の処理能力・エンコード設定が原因)
- 遅延:配信者の動きと視聴者側の表示にタイムラグが生じる(主に配信サイト側の仕様・エンコード設定が原因)
- 配信落ち:配信が途中で切断される(主にネットワーク回線・PCの安定性が原因)
症状1:映像がカクつく・コマ落ちする
考えられる原因
- PCのCPU・GPUがゲームの処理とエンコード処理を同時にさばききれていない
- OBSのエンコーダー設定(ビットレート・解像度・フレームレート)が、PCのスペックに対して重すぎる
- キャプチャーボード使用時、ソフトウェアエンコード方式でPCへの負荷が高くなっている
対策
- OBSの「設定」→「出力」で、エンコーダーをハードウェアエンコード(NVENC、QuickSync等)に変更する。GPUが対応していれば、CPUの負荷を大きく減らせます
- 配信ビットレートを下げてみる(1080p/60fps配信なら6000kbps前後が目安)。画質は多少落ちますが、カクつきが解消されることがあります
- ゲーム側のグラフィック設定を下げ、PC全体の処理負荷に余裕を持たせる
- OBSの「統計情報」ドッキングパネルで、実際にドロップしているフレーム数・レンダリング負荷を確認し、CPU起因かGPU起因かを見極める
- キャプチャーボードがソフトウェアエンコード方式の場合、キャプチャーボードの選び方で紹介しているハードウェアエンコード方式のモデルへの変更も選択肢になります
症状2:配信の遅延がひどいと言われる
考えられる原因
- 配信サイト側の仕様(低遅延モードの有無)
- OBSの「キーフレーム間隔」の設定
- 配信者と視聴者の間に入るCDN・エンコード処理の段数
対策
- YouTube LiveやTwitchには「低遅延モード」「超低遅延モード」という配信者側の設定があります。配信サイトの管理画面で有効になっているか確認してください
- OBSの「出力」設定内、「キーフレーム間隔」は2秒(デフォルトの自動設定のままでも通常は2秒)が配信プラットフォームの推奨値です。極端に長くすると遅延が増えることがあります
- 遅延は視聴者側の再生バッファ(環境による)にも影響されるため、配信者側の設定を見直しても完全にゼロにはできません。数秒程度の遅延は仕組み上避けられないものと理解しておくと、過度な対策に時間を使わずに済みます
症状3:配信が途中で落ちる・切断される
考えられる原因
- 自宅の回線速度(特に上り速度)がビットレートに対して不足している
- Wi-Fi接続の不安定さ(有線接続に比べて切断が起きやすい)
- PCがエンコード処理の負荷でフリーズ・クラッシュしている
対策
- 配信には「上り(アップロード)速度」が重要です。目安として、配信ビットレートの2倍以上の上り速度が安定して出ているか、回線速度測定サイトで確認してください(例:6000kbpsで配信するなら、上り12Mbps以上が目安)
- 可能であれば、Wi-FiではなくLANケーブルでの有線接続に切り替える。Wi-Fiは電波状況によって配信中に瞬断が起きやすく、配信落ちの原因として非常に多いです
- OBSの「設定」→「詳細settings」→「ネットワーク」内にある「ネットワークの最適化を有効にする」も改善に役立つことがあります
- 配信が落ちる直前にPCの動作が重くなっていないか(他の重いアプリを同時に起動していないか)も確認してください
OBSの「統計」ウィンドウで原因を特定する
カクつきや配信落ちが起きたとき、感覚で設定を変えるより先に、OBS自体が持っている診断機能を確認するのが近道です。OBSのメニュー「表示」→「統計」を開くと、様々な数値が表示されるダイアログが出てきます。
症状が起きていないと数値も動かないため、実際にカクつきが起きているタイミングで確認するのがポイントです
毎回メニューから開く手間がなくなり、配信中もリアルタイムで監視しやすくなります
統計ウィンドウの中でも、特に次の3項目に注目してください。数値が白色なら正常、オレンジ色なら警告、赤色なら実際に映像が欠落している状態です。
① レンダリングラグにより逃したフレーム
PC(主にGPU)の映像表示処理が追いついていないときに増える数値です。
主な原因:重いゲームの同時プレイ、GPU負荷の高いソースの多用など
対処法:
- ゲーム内のグラフィック設定・フレームレートを下げる
- OBS上の不要なソース(使っていない映像・画像ソース)を削除する
- OBSを管理者権限で実行してみる
- ディスプレイ設定で垂直同期(VSync)を有効にしてみる
② エンコードラグによりスキップされたフレーム
配信・録画の映像を圧縮する「エンコード」処理が追いついていないときに増える数値です。
主な原因:CPU/GPUの性能に対してエンコード設定が重すぎる
対処法:
- 「設定」→「出力」でエンコーダーをハードウェアエンコード(NVENC・QuickSyncなど)に変更する
- 同じくソフトウェアエンコードを使う場合は、プリセットをより軽いものに変更する
- 「設定」→「映像」で出力解像度・フレームレートを下げる
- 録画の場合、保存先をHDDからSSDに変更する
③ ドロップしたフレーム(ネットワーク)
設定したビットレートを維持したまま配信サイトへ送信できていない状態です。OBS右下の通信アイコンが赤く表示されるのも同じサインです。
主な原因:上り回線速度の不足、Wi-Fiの不安定さ、回線の輻輳など
対処法:
- 配信ビットレートを一時的に下げてみる(ただしこれだけでは直らないケースもある)
- 「設定」→「詳細設定」→「ネットワーク」の項目もあわせて見直す
- 可能であれば有線LAN接続に切り替える
- 配信中に他の端末で大きな通信(動画視聴・ダウンロード等)をしていないか確認する
タスクマネージャーもあわせて確認する
OBSの統計ウィンドウに表示されるCPU使用率・メモリ使用量は「OBS単体」の数値です。PC全体でどのアプリが重いのかを見るには、Windowsのタスクマネージャーもあわせて確認しましょう。
GPU使用率が表示されていない場合は、列見出しを右クリックして「GPU」にチェックを入れると表示されます
ブラウザのタブを大量に開いている場合や、自動アップデートが裏で走っている場合なども負荷の原因になります
診断ツールで、PC・機材面の見直しも検討する
設定を見直しても改善しない場合、PCや機材そのものが配信の負荷に対して力不足の可能性があります。用途・予算を選ぶだけで、条件に合う機材を診断できます。
配信ではなく、録画した動画のほうがカクつくときは、OBSの録画がカクカクする・重い時の対処法を見てください。
よくある質問
Q. ビットレートを上げれば画質は良くなりますか?
A. ビットレートを上げると画質は向上しますが、その分PCの処理負荷と必要な回線速度も増えます。カクつきや配信落ちが起きている状態でビットレートを上げると、症状が悪化することが多いため、まずは今のビットレートで安定させることを優先してください。
Q. 有線接続にすると本当に改善しますか?
A. Wi-Fiの電波状況が悪い環境では、有線接続への変更で大きく改善するケースが多いです。特に配信が「時々」落ちる(常にではなく間欠的に切断される)場合は、Wi-Fiの瞬断が原因であることが多く、有線接続に変えるだけで解決することが少なくありません。
Q. ハードウェアエンコードとソフトウェアエンコード、配信の負荷にどう違いますか?
A. ソフトウェアエンコード(x264)はCPUを使って高画質にエンコードできますが、CPUへの負荷が大きくなります。ハードウェアエンコード(NVENC等)はGPU内の専用回路を使うため、CPUの負荷を抑えながら配信できますが、画質面ではソフトウェアエンコードにわずかに劣るとされています。カクつきに悩んでいる場合は、まずハードウェアエンコードを試す価値があります。
関連記事:上り回線の見直し:配信に必要なネット回線の速度の目安
関連記事:配信用PCの熱対策
まとめ
- 「カクつき」「遅延」「配信落ち」は原因が異なるため、まず症状を切り分ける
- カクつきはPCの処理負荷、遅延は配信サイトの仕様・設定、配信落ちはネットワーク回線が主な原因になりやすい
- 有線接続への切り替えは、間欠的な配信落ちに対して効果が大きいことが多い
- 設定を見直しても改善しない場合は、配信用PCの選び方や診断ツールで機材面の見直しも検討する
- 配信が完全に切断されてしまう場合は配信が途中で止まる・切断される原因と対策も参照


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