マイクやWebカメラを揃えても、パソコン本体の性能が足りないと、映像がカクついたり配信が落ちたりしてしまいます。機材(周辺機器)の話とは別に見落とされがちな「PC本体のスペック」について、配信用途でどこを見て選べばいいかを解説します。
この記事で分かること
- 配信でPCに負荷がかかる理由
- CPU・GPU・メモリ、それぞれ何を見ればいいか
- 「ゲームをしながら配信する」場合に特に重要なポイント
- 予算別のスペック目安
なぜ配信にはPCパワーが必要なのか
配信では、PCが同時に複数の作業をこなしています。
- ゲームや作業画面を描画する
- マイク・Webカメラの映像/音声を処理する
- 映像を圧縮(エンコード)して配信サイトに送る
このうち「エンコード」が特に負荷の高い処理です。エンコードの方式には大きく分けて2種類あり、これを理解しておくとPC選びの基準がはっきりします。
ソフトウェアエンコード vs ハードウェアエンコード
- ソフトウェアエンコード:CPUを使って圧縮する方式。画質は比較的良いですが、CPUに負荷がかかるため、ゲーム自体の処理と競合しやすい
- ハードウェアエンコード:GPU(グラフィックボード)内蔵のエンコード機能を使う方式。CPUの負荷を抑えられるため、「ゲームをしながら配信する」場合はこちらが主流
ハードウェアエンコードにはNVIDIA製GPUの「NVENC」、AMD製GPUの「AMF」という機能がそれぞれ搭載されています。ゲームの描画性能自体はAMD Radeonでも十分ですが、配信のエンコード品質という点ではNVENCの評価がAMFより高く、「配信を軸にするならNVIDIA製GPUを選ぶ」というのが現状の定番的な考え方です。ゲーム配信を本格的にやるなら、GPU選びがそのまま配信品質に直結すると考えてよいです。
パーツ別に見るべきポイント
CPU(処理装置)
ゲーム自体の処理に加えて、配信ソフト(OBSなど)の動作、ソフトウェアエンコードを使う場合はその処理もCPUが担います。コア数・スレッド数が多いモデルほど、複数の処理を並行してこなす余裕が生まれます。
GPU(グラフィックボード)
ゲームの描画に加え、ハードウェアエンコードを使うならここが要です。ゲーム用として選んだGPUがそのまま配信用のエンコード性能にもなるため、「ゲーム用に強いGPU=配信もしやすいGPU」という関係になりやすいです。
メモリ(RAM)
ゲーム・配信ソフト・ブラウザ(コメント確認用)などを同時に開くことを考えると、最低でも16GB、余裕を持つなら32GBが目安です。8GBだと同時作業でPC全体が重くなりやすい傾向があります。
ストレージ
必須ではありませんが、SSD(できればNVMe接続)だと、ゲームの読み込み・録画データの書き出しが快適になります。録画を多用する場合は、録画データ用に別途ストレージ容量を確保しておくと安心です。
予算別のスペック目安
具体的な製品は入れ替わりが早いため、ここでは「このクラス」という世代非依存の目安と、BTOパソコンでの価格帯の目安(2026年11月時点)を示します。購入時は同クラスの最新世代を確認してください。
| 用途 | CPU目安 | GPU目安 | メモリ | 価格帯の目安 |
|---|---|---|---|---|
| 雑談配信・軽いゲームの配信 | Core i5 / Ryzen 5クラス | GeForce RTX 5060 / 4060クラス | 16GB | 22万円前後〜 |
| 本格的なゲーム配信(ハードウェアエンコード活用) | Core i7 / Ryzen 7クラス | GeForce RTX 5060 Ti〜5070 / 4060 Ti〜4070クラス | 16〜32GB | 23万円台〜 |
| 高画質配信・複数ソフト同時運用 | Core i7 / Ryzen 7クラス以上 | GeForce RTX 5070 Ti / 4070 Ti以上クラス | 32GB | 37万円台〜 |
なお、2026年はメモリやGPUの価格が上がっていて、同じクラスの構成でも以前より高くなっています。2026年11月5日にドスパラ公式の一覧を値段の安い順に並べると、デスクトップのいちばん安い機種は、RTX 5060で約21.9万円、RTX 5060 Ti(8GB)で約23.4万円、RTX 5070で約26.4万円、RTX 5070 Tiで約36.5万円でした(どれもメモリ16GB)。メモリを32GBにするとさらに上がるので、予算には余裕を見てください。
迷ったら、RTX 5060〜5060 Tiを積んだ機種(2026年11月時点で22〜24万円ほど)から考えはじめるのが無理のない範囲です。NVIDIA製GPUであれば、型番が新しくなっても基本的にNVENCが引き継がれるため、「予算内でのRTXシリーズの中でできるだけ新しい・上位のモデル」という選び方をすれば大きく外れません。
自作PC・BTOパソコンどちらでも、この表の「役割」を意識して構成を選べば、配信用途としての大外れは避けられます。
出典・参考情報
この記事のスペック目安は、以下の情報を参考にしています。具体的な製品・価格は変動するため、購入前に必ず最新情報を確認してください。
- 配信用PC 初心者向けスペック&おすすめ5選【2026年】
- 【2026年版】ゲーム配信・録画向けグラボの選び方|OBS設定
- ゲーム配信向けPCスペックの選び方!2026年最新の構成と予算別おすすめモデル
ノートPCでも配信はできる?
結論として可能ですが、注意点があります。ノートPCは同スペックのデスクトップPCと比べて熱がこもりやすく、長時間の配信で性能が落ちる(サーマルスロットリング)ことがあります。配信をメインで考えるなら、冷却に余裕のあるデスクトップPC、またはゲーミングノートの中でも冷却性能を重視したモデルを選ぶことをおすすめします。
よくある質問
Q. 今使っているPCで配信できるか分かりません。どう確認すればいいですか?
A. OBS Studioを実際にインストールし、配信せずに「プレビュー」だけ表示した状態でゲームを起動してみてください。カクつきが出るようなら、エンコード方式をハードウェアエンコードに切り替える、解像度・フレームレートを下げる、といった設定変更でまず様子を見るのがおすすめです。それでも厳しい場合はPCのアップグレードを検討します。
Q. 配信用と作業用のPCは分けた方がいいですか?
A. 予算に余裕があれば、ゲーム用PCとは別に「配信専用PC」を2台目として用意し、キャプチャーボード経由で映像を送る「2PC配信」という構成もあります。1台のPCへの負荷を分散できるメリットがありますが、初期費用は大きく増えるため、まずは1台構成で様子を見て、必要性を感じてから検討する順番で問題ありません。
Q. クラウド配信サービスを使えばPC性能を気にしなくていいですか?
A. 一部のクラウドエンコードサービスはPC負荷を軽減できますが、月額費用がかかったり、遅延が発生したりする場合があります。この記事では扱いませんが、PCのアップグレードが難しい場合の選択肢として知っておくとよいでしょう。
PCを買い替える前に、配信のカクつき・配信落ちが設定面で改善しないか確認したい方は配信映像のカクつき・遅延・配信落ちの原因と対策もご覧ください。
関連記事:配信用PCの熱対策
まとめ
- 配信の負荷の中心は「エンコード」。ハードウェアエンコード対応GPUがあると余裕が生まれる
- CPU・GPU・メモリのバランスを、自分の配信スタイル(雑談か、ゲームか、高画質重視か)に合わせて選ぶ
- ノートPCでも配信は可能だが、熱対策には注意する
- 機材(マイク・カメラ等)の選び方はVTuberデビューに必要な機材一式、配信ソフトの設定はOBS Studioの使い方ガイドを参照
- 配信中にゲーム自体が重くなる場合の対策は配信中にゲームが重くなる・FPSが落ちる原因と対策も参照
※2026年11月5日:「予算別のスペック目安」の値段を、いまの相場(ドスパラ公式の一覧)に合わせて直しました。メモリやGPUの値上がりで、前に書いていた「15万円台から」では買えなくなっていました。


コメント